1854年にオランダ・アムステルダムにて創業したロイヤル・アッシャー。

「オランダ文化を辿る、ジュエリーの物語」では、アムステルダム在住のエディター&ライター、岩間まき氏とともに、オランダ文化やアムステルダムの街を辿りながら、ロイヤル・アッシャーのジュエリーが生まれるに至ったインスピレーションをご紹介。

第1回目はオランダ、そしてアムステルダムの歴史を振り返りながら、心象風景として印象深い「風車」とかつて「ダイヤモンドの街」と呼ばれたダイヤモンドストリートについてお届けします。

*アムステルダム市内に張り巡らされた運河と街並み。運河にかかる橋には花の国、オランダを象徴するように、色とりどりの花が飾られている。

オランダ文化の礎
風車の存在

ロイヤル・アッシャー創業の地であるオランダの国土面積は41,450k㎡で九州とほぼ同じサイズ、首都アムステルダムは219,3k㎡で東京都の10分の1のサイズである。

全体の人口は約1803万人で、そのうちおよそ93万人がアムステルダムに住んでいる。
(2024年オランダ中央統計局調べ)

オランダはドイツとベルギーに隣接し、アムステルダムからパリまでは鉄道で3時間半、ロンドンまでも4時間、とヨーロッパの主要都市へのアクセスが良いところに位置している。

オランダの国名は英語で「低地の国」という意味をもつ「Netherlands(ネザーランド)」。
それはもともと国土の四分の1が、海抜0m以下のところにあったことに由来している。

そのため人々が風車を使って水を汲み上げ、運河へ排水し湿地帯を干拓することで国土を広げていった。

今やこの干拓地のおかげで、オランダを代表するチーズやチューリップなど世界有数の農業大国となり、風車が果たした役割は極めて大きい。

なお、オランダに移住したことのあるフランスの哲学者・デカルトは、このオランダ人の偉業を称え、『神は世界を造ったが、オランダはオランダ人が造った』という有名な言葉を残している。

*アムステルダムにある、1636年に建てられたデ・リーケル風車。近くには、このほとりに来てよく絵を描いていたオランダ人画家レンブラントの像もある。

また、オランダはヨーロッパ最大の港を所有しており、海運貿易業も大変盛んである。ものや人が多く行き交うということは、つまり多様性を受け入れる環境も整っているということだ。

1912年には日蘭通商航海条約を締結し、日本は通商航海の自由と最恵国待遇を受けている。また、文化や宗教の自由を保護する多文化主義もいち早く取り入れてきた。

ダイヤモンドと紡ぐ
アムステルダムの歴史

オランダが急激に進展し始めたのは、スペインから支配されていた16世紀当時、独立を試みて80年戦争で勝ち取ったところから始まる。

17世紀にはアムステルダムが世界貿易の中心地となり、あらゆる種類の原材料や商品が行き交う中継港として発展した。

そして経済的に成功し文化的にも成熟したアムステルダムに、インドからのダイヤモンドの取引や研磨について精通していたユダヤ人が定住したことでダイヤモンド産業が活発になり、19世紀にはアムステルダムにダイヤモンド取引所が設立された。

さらに1907年には、ダイヤモンド原石の中でも世界一の大きさを誇る「カリナン」を所持していた英国王エドワード7世が、ロイヤル・アッシャーの3代目ジョセフ・アッシャーにカッティングを依頼し、翌年見事に成功を収めたことで、およそ3世紀に渡りアムステルダムは『ダイヤモンドの街』と呼ばれたのである。

アムステルダムで見つける
ダイヤモンドのある景色

このような歴史的背景をもつアムステルダムには、かつて『ダイヤモンドの街』と呼ばれた頃の名残がいくつか見られる。

そのうちのひとつが、「Diamantstraat (ダイヤモンドストリート)」だ。

”アムステルダム”の名前の由来ともなったアムステル川の近くの閑静な住宅街にロイヤル・アッシャー本社はあり、その建物から南方に真っ直ぐとこの道は伸びている。

この通りには、オランダを代表するコンサートホール「コンセルトヘボウ」を設計した有名建築家A.L.ファン・ヘントが1891年に手掛けた、ダイヤモンド従事者80名のための複合施設が並んでおり、ダイヤモンドの歴史を語る上で欠かせない場所となっているのだ。

*窓枠に黄色と緑のコンビネーションカラーを使っていることが、この複合施設の特徴。第二次世界大戦までダイヤモンド従事者が住んでいた。

*この建物のある一帯をDiamantbuurt (ダイヤモンドクォーター)と呼び、ダイヤモンドビジネスの隆盛を極めていた当時はいつも賑わっていたそうだ。

オランダの街から
着想を得たジュエリー

最後にロイヤル・アッシャーのコレクションの中から、今回ご紹介したオランダとアムステルダムのダイヤモンド文化を象徴したジュエリーをご紹介したい。

<風車のペンダント>

オランダのシンボルでもある風車を、力強い光を放つダイヤモンドで表現したペンダントとブローチ。コーディネートに華やかさをプラスしたい時に重宝する、存在感あふれるアイテム。

ボヤージュ プラチナ ダイヤモンドペンダント
ボヤージュ プラチナ ダイヤモンドピンブローチ

<ディアマントストラートのペンダント>

ダイヤモンドストリートのプレートに、オランダの国を象徴するオレンジカラーのダイヤモンドを合わせた、シンプルな中に個性が光るデザインは、デイリー使いにおすすめ。プラチナとK18イエローゴールドの2タイプをご用意。

ディアマントストラート K18イエローゴールド オレンジダイヤモンドペンダント
ディアマントストラート プラチナ ダイヤモンドペンダント

*上記のディアマントストラートペンダントは、銀座本店、オンライン限定販売

岩間まき
東京都出身。学生時代からファッション誌に携わり、大学卒業後はインターナショナル・モード誌、ラグジュアリー・ファッション誌で編集を担当。独立後も編集、海外コレクション取材、ブランドやウェブサイトのディレクションやライティングなどを手掛けている。フランス、アメリカでの海外生活を経て、オランダ・アムステルダムに現住。趣味は読書と絵画鑑賞、旅行、カフェ巡り、そして体を動かすこと。