1854年にオランダ・アムステルダムにて創業したロイヤル・アッシャー。

「オランダ文化を辿る、ジュエリーの物語」では、アムステルダム在住のエディター&ライター、岩間まき氏とともに、オランダ文化やアムステルダムの街を辿りながら、ロイヤル・アッシャーのジュエリーが生まれるに至ったインスピレーションをご紹介。

第5回目は夏のアムステルダムの楽しみ方、魅力について語ってもらいました。

夏のオランダは日照時間が長く、夜10時を過ぎても明るさが残る。そのため、一日をたっぷりと使って文化体験や観光を楽しめるのは、この季節ならではの魅力である。

そこで今回は、夏のアムステルダムで、まずはオランダ文化をじっくり堪能できるプランをご紹介したい。

1日の始まりは、
オランダの巨匠たちと出会う美術館巡りから

アムステルダムには、オランダを代表する二大美術館がある。ひとつは「アムステルダム国立美術館(Rijksmuseum)」、もうひとつは「ゴッホ美術館(Van Gogh museum)」である。

レンブラントやフェルメールの名作が並ぶ
「アムステルダム国立美術館」

1885年ミュージアム広場(Museumplein)に開館した、オランダ最大規模の美術館である。建築は19世紀オランダを代表する建築家、ピエール・カイパース(Pierre Cuypers)によるもので、ネオゴシック様式とネオルネサンス様式を融合した外観は、美術品と並ぶ建築芸術としても高く評価されている。

2023年の来館者数は約270万人(Rijksmuseum 調べ)と、国内でもっとも人気の高い文化施設のひとつとなっている。

80を超える展示室には、オランダ出身の画家、レンブラントやフェルメール、ヤン・ステーンのほか、オランダで活躍したフランス・ハルスといった17世紀の巨匠の作品をはじめ、12世紀〜20世紀にかけての絵画、ジュエリー、工芸品、船の模型、銀器、デルフト焼き、ドールハウスなど、約8000点が常時展示されている。

夏期には、庭園内にカフェがオープンし、イーゼルを用いた屋外写生イベントも開催され、より一層の賑わいを見せる。

1642年に完成されたレンブラントの「夜警」は、過去の移送時に画面の四辺が切り取られたため、AI技術を活用した修復プロジェクトが進められている。修復期間は今後数年を要すると見られているが、ガラス越しでの鑑賞は可能。

17世紀にスペインから独立したオランダでは、宗教的な絵画より市民生活や風俗を描いた絵画が好まれるようになった。フェルメールの「牛乳を注ぐ女」も、そのような時代背景の中で誕生した作品である。

世界最大のコレクションを誇る
「ゴッホ美術館」

オランダ生まれの画家フィンセント・ファン・ゴッホの作品を所蔵・展示する美術館。2023年にはおよそ170万人(Van Gogh museum 調べ)が来館しており、アムステルダム国立美術館と同じミュージアム広場に位置する。

1973年に開館した直線基調の本館は、家具デザイナーとしても名を馳せたヘリット・リートフェルト (Gerrit Rietveld)が設計。1999年には、曲線と非対称なデザインが特徴の黒川紀章による新館も加わった。

ゴッホが画家として活躍していた期間はたった10年ほどで、生前に販売した作品はわずか1点と言われている。

ゴッホの没後、作品はすべて弟テオの家族によって大切に保管され、やがてテオの息子、つまりゴッホの甥にあたるフィンセント・ウィレム・ファン・ゴッホに受け継がれた。

彼は1960年にファン・ゴッホ財団を設立し作品をオランダ政府に寄託、後にゴッホ美術館で広く公開されることとなった。

美術館には、絵画200点、素描500点、書簡700点あまりの所蔵品に加え、ゴッホが集めていた日本の浮世絵や、彼と交流のあったゴーギャン、モネ、ロートレック、ポール・シニャックなどの作品も並ぶ。

「ひまわり」や「アルルの寝室」、「じゃがいもを食べる人々」、そして甥・フィンセントの誕生を祝して描かれた「花咲くアーモンドの木の枝」など、名作の数々を間近で鑑賞できる。

次は、アムステルダムの歴史的な景観をパノラマのように堪能できるプランをご紹介したい。

夏の夜を締めくくる、
アムステルダムのナイトクルーズ

アムステルダムでの一日を締めくくるなら、歴史ある運河をゆったりと巡るナイトクルーズがおすすめだ。

まだ夕暮れ前の明るい時間帯に出航するクルーズでは、運河沿いに連なる多彩な建物とともに、街が夕景へと染まる眺めも楽しめる。

アムステルダムの運河地区は、17世紀に築かれた環状の運河と、それに沿って立ち並ぶ歴史的な建物によって形づくられており、オランダ黄金時代の都市づくりの特徴を今に残している。

全長100km以上の運河網は、都市計画と水管理の優れた技術に基づき、1613年から約10年かけて整備され、主要な運河が中心部を円状に囲むように構成されている。

運河の両岸には、レンガ造りのファサードや切妻屋根、装飾の施された窓枠や石材など、伝統的な外観をもつ建物が街に趣を添え、近代以降の建物とも調和しながら独自の美しさを保っている。この都市景観は、2010年にユネスコの世界文化遺産に登録された。

クルーズ中に望める代表的スポット

「セントラル・ステーション」
1889年竣工されたネオゴシック様式やネオルネサンス様式の要素を持つ赤煉瓦の建物。設計者は、「アムステルダム国立美術館」の建築でも知られるピエール・カイパース。国内各地への列車や国外への高速列車が発着する。

「海洋博物館とアムステルダム号」
1656年、建築家のダニエル・スタルパート(Daniël Stalpaert)の設計によって海軍の倉庫として建てられた建物を活用し、2011年の改修を経て博物館として開館。現在は、世界最大級のオランダ海運史コレクションを擁する施設となっている。隣接する東インド会社の復元船「アムステルダム号」では、実際に乗船体験も可能。

陽が落ち始め、街に明かりがともり、都市の喧騒が次第に遠のくと、運河沿いの景観は幻想的なものへと変わっていく。

「マヘレの跳ね橋」
アムステルダム中心部にかかるおよそ250もの橋の中で最も有名な橋。1691年に架けられた木製の跳ね橋で、諸説あるが、当時は2人が渡るのにもやっとのほどの細さだったことからマヘレ(Magere :オランダ語で「痩せた」の意)と呼ばれるようになったとされている。1934年に現行の幅に再建。夜にはライトアップされる。

水面に映る橋や建物の灯り、そして空にゆっくりと広がる夕闇のグラデーション。非日常が漂う特別な時間に、身に纏ったダイヤモンドの輝きが静かに寄り添い、この街の景色とともに深く美しい記憶を刻む。

ロイヤル・アッシャー・シグニチャーカット コレクションから新作リング

国際特許を有する5つのオリジナルカットが施された、ロイヤル・アッシャーの新作リング。アムステルダムで過ごす贅沢なひとときに相応しい、洗練されたデザインと緻密なカッティング技術が際立つラグジュアリーなコレクションです。

アート鑑賞やナイトクルーズなどのシーンで、繊細な輝きが手元に気品を添えます。

ロイヤル・アッシャー シグニチャーカットコレクションを見る

参考文献
Rijksmuseum
Van Gogh museum
Rembrandt museum
Grachten museum
H’ART museum
「Amsterdam」Catherine Le Nevez
「The Netherlands in a Nutshell」Amsterdam University Press
「Amsterdam acht Kerr anders」Goudrn wandelschoen
「Amsterdam Architectuur」Een gids
「Nederland」Capital Reisgidsen
「Vermeer」Hannibal
「Vincent Van Gogh」Susie Hodge
「Rembrandt」Rijksmuseum
「Het Evangeline volgend Vincent Van Gogh」Anton Wessels
「Vermeer alle schilderijen」Norbert Schneider



岩間まき
東京都出身。学生時代からファッション誌に携わり、大学卒業後はインターナショナル・モード誌、ラグジュアリー・ファッション誌で編集を担当。独立後も編集、海外コレクション取材、ブランドやウェブサイトのディレクションやライティングなどを手掛けている。フランス・ニース、アメリカ・ノースカロライナ州での海外生活を経て、オランダ・アムステルダムに現住。趣味は読書と絵画鑑賞、旅行、カフェ巡り、そして体を動かすこと。